台湾製と英国製の違いとは


ブロンプトンは英国の自転車専門メーカーだが、一時期台湾のネオバイクがライセンス生産していたため、わが国には英国製と台湾製が混在している。
現在、新品として販売されているものはすべて英国製だが、台湾製とはいえども安い自転車ではなかったため、室内に大切に保管していた人が多いらしく、現在でも台湾製の状態のいいものが中古市場に良く出てくる。
ただ見た目は似ていても、やはり色々と相違はあるし、市場での価値もかなり違うので、間違って買ったりしないように私の判る範囲で相違点を書いておこうと思う。

実は乗った感じは随分違うのだが、10年前に生産が終了しメカニック的にへたっていく一方の台湾製と、毎年少しずつとはいえ改良が加えられてきた英国製を比べるのはあまりにフェアではないので、回転系の話はなるべく避けようと思う。
台湾製といえども海賊版ではなくライセンス製品であり、台湾製の方が勝っていると思える事もいくつもあった。
ページを始めた時には台湾製しか持っていなかったが、現在は英国、台湾両方を所有しているので、なるべく公平な立場で違いを書ければと思っている。
写真の比較はすべて台湾、英国の順で掲載してある。


ハンドルステムとメインフレームに張られた英国国旗とシール



台湾製を見分けるのにすぐに判るのはハンドルステムに張られた英国旗を上下に長く引き伸ばしたようなシールとメインフレームの両サイド部分に張られた英国旗。そして初期の台湾製にはフロント・キャリアブロックを取り付けるネジ装置が無く変わりにシールが張られている。(この写真は私の台湾製のブロンプトンに国旗シールを合成追加したものです。)


英国製のブロンプトンには国旗の類は何も張られていない。ただしこれらは全てシールのため簡単に爪ではがせる。



台湾製の後期のものにはフロント・キャリアブロックを取り付けるネジ穴が付いている。ネジ穴の鉄片の左右をヘッドチューブと溶接してあり上下の溶接は省略しているようだ。


英国製のフロント・キャリアブロックの取り付けるネジ穴の鉄片はヘッドチューブとの間を完全にロウを回してロウ付けしてある。


フレームに張られたブロンプトンのロゴマーク



メインフレームに張られたブロンプトンのロゴ。
BROMPTON  Patents Worldwide  ENGLAND
とあり国名は書いてあるが英国製の記述はない。Made in とは書けないのでEnglandとだけ書いてある。


BROMPTON  Made in England    www.brompton.co.uk
と英国製の記述がある。
ただし、これもシールなので張り替えることは可能。


クランクセットのデザイン



台湾製ブロンプトンのクランクセット部分のデザイン。


英国製ブロンプトンのクランクセット部分のデザイン。クランクセットの交換は結構大変なのでこれで大多数は区別がつく。


ハンドルの締め付け部分



台湾製のハンドル締め付けは上からネジを締め付ける形。


英国製は前から後ろに向かって水平にネジを締め付ける形。
ハンドル自体も台湾産が存在していた時期より現在はM型の曲がりが角ばっている。


シートクランプの締め付け用レリーズの形状



台湾製ブロンプトンのシートポストを締め付けるレリーズはこのデザイン以外のものは無いようだ。軽合金に黒色で着色してある。


英国製ブロンプトンのレリーズはプラスチック製。旧タイプもレリーズに穴は開いていないので台湾製との区別はつけやすい。
後ろにちょこっと下に向かって垂れているような小さなレバーはリア三角固定用のフック。台湾製が生産されていたころには無かったシステムなのでこれも区別しやすい。当然ながら古い英国製には付いていない。


ヒンジ部デザイン



台湾製と英国製はメインフレームのヒンジ部のデザインにかなりの相違が見受けられる。並べないと判りづらいが並べると良くわかる。英国製のヒンジ部は鉄材から一つずつ削りだしたものだが、台湾産は鋳造品で当然ながら強度的には差があると考えられている。


ハンドルステムのヒンジ部も同様にデザインと製法に相違がある。


上の写真はびっちのブロさんから投稿された写真で英国製に2004年まで使われていたヒンジ形状です。英国製は2005年から現在の形状になりました。台湾製のヒンジは旧英国製の金型を使ったものです。との事です。
メインフレームの方は現在の英国製とも台湾製との違うタイプです。ハンドルステムの方は台湾製と同じ形状です。旧英国製の金型を使っているそうなので同じなのは当然ですね。
フレームにどちらか判別できないようなものがあった理由が判りました。びっちのブロさん、ありがとうございました。


フレームの溶接部分


台湾製と英国製の一番の決定的な違いはフレームの溶接方法だろう。他の部分はいくら交換が出来たとしてもメインフレームだけはどうしようもない。台湾製のメインフレーム以外をすべて英国製に付け替えられたとしても、それを英国製とは名乗れないのも、このメインフレームのブロンプトン独特の溶接方法による。ただし、一時期台湾ネオバイク製のフレームとハンドルステムを使用して英国で生産された製品も存在するので、古い英国製には部品の組み合わせで混乱した時期が存在する。


台湾製は通常のクロモリの自転車で使われるアーク溶接を使ってメインフレームとヘッドチューブやヒンジ部分が接合されている。



英国製は溶接ではなくロウ付け方法を採用し結合部の内部までロウを回す事によって堅牢に仕上がっている。ヒンジ部も削りだしたヒンジにフレームのパイプを差込み隙間にロウを流し込んでいる。


ハンドルステムのヒンジ部分も台湾製は鋳造のヒンジにステムのパイプを溶接したもの。


英国製のハンドルステムのヒンジ部はメインフレームと同様、削りだしたヒンジ部にパイプを差し込んでロウを内部まで流し込んでいる。

マッドフラップの有無




英国製の泥除けにはマッドフラップが付いている。台湾製には付いていないので見分けやすい。ただし、マッドフラップの取り付けは容易なのと古い英国製には付いていないものもあるので参考までに。


折りたたみ時の形状



台湾製は折りたたんだ時に少しだが菱形状になる。


英国製は真四角に近くなり、よりコンパクトになった印象を受ける。


リアキャリアの有無が高さに影響を与えている可能性もあるので計測してみると、台湾製は床からタイヤの内周部まで71mm。


英国製の方は床からタイヤの内周部まで64mm。見かけほどはリアキャリアの有り無しが収納時の大きさに影響を与えていない事がわかる。


停車時の形状



台湾製を座らせると前輪と後輪が干渉して少し窮屈な印象になる。


英国製の場合は座らせても前輪と後輪は若干ぶつかる程度で前輪を少し持ち上げればハンドルを反対側に切る事も簡単に出来る。


ハンドルステムとシートポストの間を測ってみると台湾製と英国製の間には35mmの差があった。この差が停車時の前輪の角度に影響を与えているわけだ。古い英国製も台湾製の様に少し短いはずなので時期的なものかも知れない。



目視では英国製はハンドルステムとシートポストが平行に見えるのだが、台湾製は少し上部に向かって狭まっている印象がある。サドルは収納時のために思い切り前に出している。


実際に乗ってみると台湾製に比べて英国製はハンドルが前にかなり出ている印象で、乗車姿勢が前傾になりサドルの突き上げが楽になる。


ハンドルステムの形状を比べてみると台湾製は殆どストレート状なのに対し、英国製は前に向かって少しカーブを描いている。これも英国製の方が少し前傾姿勢になる理由のようだ。


巻尺で計ったところ台湾製とはホイールベースに21mmほどの差があった。実際に乗ってみるとこの21mmの差は数字以上に大きい。


リアキャリアシステム



台湾製にはリアキャリアが最初から付属している。アルミ棒を溶接して作ったリアキャリアで、英国製のアルミダイカスト成型のリアキャリアとは形状が違う。


最近の英国製ブロンプトンではリアキャリアはオプションとして最初からは付属していない。変わりに泥除けの上に小さな車輪が付属している。ブロンプトンは転がせるイメージからこの小さな車輪で転がそうとしてもそれは無理というもの。この車輪はリア三角フレームを折りたたむ際に地面との摩擦防止とスムースに回転して折り畳むためのもので転がそうと思うのならリアキャリアが必要になる。

クランクの形状


かつては30cmとされていたブロンプトンを折り畳んだときの厚みが、現在のカタログ値では27cmである。クランクセットのチェーンの位置がメインフレームにより接近した事もあるけれども一番大きいのはクランクの形状そのものではないかと思い、計ってみた。撮影は三脚を固定してクランクを半回転して合成した写真である。

台湾製では直線状の左右のクランクの距離は148mm。最近の英国製ではクランクが内側にカーブを描き距離が127mmと縮まっている。このクランクの形状だけで21mm程薄く折り畳めることが判る。靴のカカトがホイールにぶつかりやすくなりそうなものだが特には何も支障を感じなかった。
今も進化を続けているという事らしい。台湾製のオリジナルの右ペダルは黒の樹脂製だったがアルミ製に付け替えてある。


シート・ピラー・ストッパー


ブロンプトンを折りたたんだ時、持ち上げても崩れないようにシートピラーを押さえるストッパーが付いている。


台湾製のストッパーは中心がずれたプラスチック製。壊れやすいものなのでオリジナルの状態で残っているものは少ないのではと想像される。私も教えてもらって一個だけ手に入れ装着してみた状態。


英国製のストッパーはネジで先端に樹脂製の円盤を取り付けるようになっている。ストッパーが手に入れば台湾製に取り付けることは可能。



ブロンプトンには何故、英国製と台湾製、また双方を組み合わせたような製品が存在するのかという疑問に対しては、英国ブロンプトンのホームページ内の社史に簡単に記されている。
もちろん本国ブロンプトン側の話で、台湾ネオバイク側の話は無いのだが、大体そんな事だろうとは容易に想像が付く。
ようやく事業が軌道に乗り始めた1992年、ブロンプトン本社に台湾のEuro-Tai社から、ライセンスの供与と共に、英国ブロンプトンがすでに輸出している諸国以外の太平洋アジア諸国に対して生産販売を大々的に行い、ロイヤリティをブロンプトン本社に毎年支払うという話が持ち込まれる。
実はこの台湾ブロンプトンの話に関しては年号があいまいで結構もめていたのではと思われる。
良い勉強になったと書いてあるので、私の台湾ブロンプトンは良い勉強の産物らしい。

ともかく問題にされたのは、台湾ブロンプトンの強度を中心とした品質だったようで、そのうちに安売りに走り始めたり、契約以外の英国ブロンプトンのもともとの輸出国にもこっそり輸出しているのが判明し、ロイヤリティの支払い額が信用出来ないレベルに下がっていったなど、まあ我慢の限界という事らしい。
この事によほど懲りたのか、以降はかたくななまでにブロンプトンは英国本社で全ての生産を行っているのはご存知の通り。


契約時に技術提供した金型(溶接時やパイプを曲げたりするときに使うジグのようなものか?)や設計図などを返さないなど、グチのような事まで書いてあり、契約破棄後に次々と現れたクローンブロンプトンとの戦いに、これからも法的手段で戦い続けると宣言している。

契約破棄や裁判決着の時期はあいまいなのだが、2004年位までは日本にも台湾ブロンプトンが出回っていた。おそらくは10年以上も蜜月時代が続くはずも無く、後半は訴訟合戦の様相だったのではと想像した。

法的手段に関しては、かなりの成果があったと自賛しているので、取りこぼしも少しはあるらしい。現在出回っているフラミンゴなど、どう見てもクローンなのだが、本物より重くて小さくならないクローンなんて魅力があるのかな?

英国ブロンプトンのページではサイズに以下の数値が記されている。
585mm high x 565mm long x 270mm wide
私も自分の英国ブロンプトンM3Lで計測してみると
565mm 高さ x 567mm 長さ x 275mm 幅 11.4kg(M3L) 重さ
何故か高さは20mmもカタログ値より小さい。長さは2mm長いがこれはサドル次第で誤差。幅の5mmも誤差の範囲。
大体、自転車の寸法なんて測り方でどうにでもなり、普通は傾けて計ったりペダルを外したり、いい加減な数字がドンドン出てくるのだが、ブロンプトンの場合は綺麗な形で鎮座しているので、まともな数値が出てくる。


台湾クローン フラミンゴFL-BP01-7 のサイズを見ると何と
66x36x66 cm 13.2Kg もある。特に幅の36cmはありえない数字で、このバカでかさでクローンでは無いと司法の場で言い張るつもりなのだろうか。
それとも、こんなにでかいのならまあ良いかと、本家のお目こぼし狙いか、どちらにしても電車持ち込みや狭い階段を持ち運ぶ私には、まったく興味の無い製品である。
シマノの7段変速だけには興味はあるが、実際には3段で殆ど十分だし、この手のアルミの自転車でスピードを出しすぎても危険なだけだ。

英国製のブロンプトンはホームセンターの1万円程度の折りたたみ自転車も存在する昨今では、結構な値段がする。
日本だけが高いのかは良くわからないが、シンガポールのニュースからシンガポールと日本の値段は同じ程度だということがわかった。

そのニュースとは2012年7月26日にシンガポールの新聞に載った、国立公園局がブロンプトンの折りたたみ自転車26台を職員の公園から公園への巡回用に購入したというものだ。
一日40Kmは走るという巡回で、折りたたみ自転車ならば何処にでも行けて便利だという理屈なのだが、贅沢なのではと批判を受けているという話である。車で行くより安上がりといういい訳もしているらしいが、この用途ならば、安い自転車でも用は足りそうだし、折りたたむ必要自体があるのだろうか。それより40Kmという数字が本当なら車のほうが良いのでは?シンガポールの炎天下を自転車で毎日40Kmなんて・・・
そしてその購入価格が1台2200ドル(約13万9000円)なのだそうで、日本の価格と同じようなものだ。

とんだ所でブロンプトンが槍玉に上がってしまった。26台一度に売れた自転車屋は嬉しかっただろうが、公園局の購買係とともに癒着の取調べ中らしい。


重さについて



上が英国製、下が台湾製のハンドルポスト。ハンドルバーを付けるステム部の形状も違うし、フォークとの結合方法も違う。


ヒンジ部は英国製の方がしっかりしていて丈夫に見える。フォークとの結合方法は英国製では臼(ウス)を引き上げボルトでパイプの中に引っ張り上げることによって切れ目を入れたパイプを広げて固定する。台湾製では斜めに切った臼を引き上げる事によって固定させる。
英国製の方が確実に結合できる気がするが、外す際には台湾製の方が10倍楽。


持った時に重さに違いがあるため念のために計ってみると英国製のハンドルポストの重さは767g。



そして台湾製のハンドルポストの方は812g。その差は45g台湾製の方が重かった。臼の材質が英国製はアルミで台湾製の方は構造的に鉄となっている理由もありそうだが、全体にパイプが少し厚いのではないだろうか。というのはシートポストもパイプの厚さに差があって結構な差がある。


英国製のシートポストは重さ345g。材質は鉄だが非常に薄く出来ていて凹んだりしやすいが強度は十分にある。


一方台湾製のシートポストは479gもあり、英国製より134gも重い。しかし非常にがっしりしていて少々の当たりでは凹んだりしそうもない。全体的な強度については不明。


上が英国製、下が台湾製のシートポストの形状。ハンドルポストとシートポストだけでも英国製と台湾製の差は178gもある事になる。面倒なので計ったことはないがフレームも同じように重さには差があると思われる。
部品の重さが違うので大体だが、英国製と台湾製では完成車の重さで300g~400g程度の差があると感じている。